Notes
ドメインガード関数で不変条件を一元管理する
複数のフィールドの組み合わせでパネルや状態を決定するUIで、ドラッグ&ドロップなどの操作を追加すると矛盾した状態が生まれやすい。パネル判定ロジックが複数箇所に散らばっていたのが原因だった。
解決策として、不変条件をドメインガード関数に集約し、パネル判定も単一の関数に一元化した。
構造:
domain/
item-input.ts ← ドメインガード(不変条件のバリデーション)
item-panel-grouping.ts ← パネル判定の唯一の情報源
ui/
multi-panel-screen.tsx ← ガード関数を呼ぶだけ
ドメインガードの例:
// isArchived=true と activeGroupId!=null は共存できない
function validateItemInput(input: ItemInput) {
if (input.isArchived && input.activeGroupId != null) {
throw new Error("Archived items cannot belong to an active group");
}
}
パネル判定の一元化:
// グルーピングと同じロジックで単一アイテムのパネルも判定する
function determinePanelForItem(item: Item): PanelType {
return groupItemsByPanel([item])[0].panel;
}
// DnDハンドラは source × target のマトリクスで明示的に許可
function handleDragEnd(source: PanelType, target: PanelType) {
const allowed = { Backlog: ["Archive"], Archive: ["Backlog"] };
if (!allowed[source]?.includes(target)) return; // 無効な遷移は無視
// ...
}
なぜこうしたか:
- UI側にパネル判定の逆ロジックを持つと、グルーピング関数との間で不整合が起きる。判定を1箇所にすることで「UIが見ているパネル」と「ドメインが認識するパネル」のズレがなくなる
- ドメインガードを永続化層の手前に置くと、APIからもUIからも同じ不変条件が強制される
- DnDの遷移をマトリクスで管理すると、許可されない遷移を明示的にドキュメントできる
Cloudflare Access applicationを再作成するとaudが変わる
Cloudflare Accessで保護したアプリのAccess applicationを削除→再作成すると、JWTのaud(Audience Tag)が新しい値に変わる。Worker側でaudを検証している場合、環境変数を更新しないと全APIが401になる。
症状がわかりにくいのがハマりポイント。Cloudflare Accessのログイン自体は成功するので「認証は通っている」ように見えるが、Worker側のJWT検証でaud不一致になりAPIが全滅する。フロントエンドは「session expired」的な表示になるため、Access側の問題だと気づきにくい。
// Worker側のJWT検証コード(簡略化)
const payload = await verify(jwt, publicKey);
if (payload.aud !== env.ACCESS_AUD) {
// Access applicationを再作成すると、ここで落ちる
return new Response('Unauthorized', { status: 401 });
}
調査の勘所:
- ブラウザでAccess認証は通るのにAPIが401 →
audの不一致を疑う curl -vでレスポンスヘッダを確認し、Access自体は通過していることを確認する- JWTをデコードして
audの値を現在のAccess applicationのAudience Tagと突き合わせる
ポイント:
- Access applicationを再作成・置換したら、Worker側の
ACCESS_AUD環境変数を必ず更新する - IaCで管理しているなら、applicationリソースの
aud出力をWorker設定に自動連携しておくと安全
MCPツールは1機能1PRで積み上げると安定して進む
MCPサーバーにCRUD系のツールを追加するとき、一度に全部作ろうとせず1ツール1PRで積み上げるアプローチが効果的だった。1日で get / create / update / comment の4ツール+関連情報取得を安定してリリースできた。
構造:
mcp-server/
tools/
get-resource.ts # PR #1
create-resource.ts # PR #2 (get-resourceの存在を前提に)
update-resource.ts # PR #3
create-comment.ts # PR #4
get-workspace.ts # PR #5
なぜこうしたか:
- 依存の方向が自然に決まる — getを先に作り、create/updateはgetの動作を前提にできる。テストもgetの結果を使って検証できる
- CIが毎回グリーンになる — 差分が小さいのでレビューもCI修正も局所的で済む
- ロールバックが容易 — 問題が出ても1ツール単位で切り戻せる
- 途中で方針変更しやすい — 3つ目を作る頃にはパターンが固まり、最初の2つをリファクタする判断もしやすい
代替案として「全ツールを1つの大きなPRで出す」方法もあるが、コンフリクトやCI修正が複雑になりがちで、途中で手が止まるリスクが高い。
GitHub ActionsでPR本文に必須セクションを強制する
PR本文にADR(Architecture Decision Records)セクションを含めるルールを作ったが、AIエージェントがルールを守らないことがあった。CLAUDE.mdに書いてもスキップされるケースがあるため、CIで機械的にブロックする方が確実。
Before(手動):
レビュー時に「ADRセクションがない」と指摘して差し戻し。見落としも発生する。
After(自動):
# .github/workflows/pr-body-check.yml
name: PR Body Check
on:
pull_request:
types: [opened, edited]
jobs:
check:
runs-on: ubuntu-latest
steps:
- name: Check required sections
uses: actions/github-script@v7
with:
script: |
const body = context.payload.pull_request.body || '';
const required = ['## Related ADRs'];
const missing = required.filter(s => !body.includes(s));
if (missing.length > 0) {
core.setFailed(`PR本文に必須セクションがありません: ${missing.join(', ')}`);
}
ポイント:
types: [opened, edited]で作成時と編集時の両方をチェックする- AIエージェントに「ルールを守れ」と書くより、CIで落とすほうが確実に機能する
- 必須セクションが増えたら
required配列に追加するだけで拡張できる
macOS標準のbash 3は連想配列が使えない
macOSに標準搭載されている bash は 3.x 系で、declare -A (連想配列)が使えない。bash 4以降の機能。
# bash 4+: 動く
declare -A counts
counts["key"]="value"
# bash 3 (macOS default): syntax error
Homebrew で bash 5 を入れていれば使えるが、CI環境やチームメンバーの環境では入っていない前提で書くほうが安全。
回避策:
- 連想配列の代わりに
grep+ 一時ファイルやawkでキーバリューを管理する /bin/bashではなく/usr/bin/env bashを使い、PATH上の新しい bash を使う手もあるが、全環境に bash 4+ がある保証はない- 複雑なデータ構造が必要ならシェルスクリプトをやめて Python や jq に切り替える
ポイント:
#!/bin/bashで書くスクリプトはmacOSのbash 3互換を意識するdeclare -A以外にも、${var,,}(小文字変換)、|&(パイプのstderrリダイレクト)なども bash 4+ 限定
画面統合は「機能の棚卸し→移植→廃止」の順で進める
同じドメインの表示バリエーションが複数画面に分散しているとき、一気にリライトするのではなく段階的に統合する。
手順:
- 棚卸し — 各画面の固有機能を洗い出す。一覧・フィルタ・並べ替え・一括操作・削除など、画面ごとに何ができるかをテーブルにまとめる
- ベース画面の選定 — 最も機能が多い画面、または目標UIに最も近い画面をベースにする
- 機能の移植 — 他の画面にしかない機能をベース画面に移植する。このとき新しい抽象化は作らず、まず動く状態にする
- 参照の付け替え — ルーティング・ナビゲーション・テストの参照先をベース画面に切り替える
- 旧画面の削除 — 参照がなくなった画面ファイルとそのテストを削除。不要になった型定義やユーティリティも一緒に消す
実際に5画面→1画面の統合をやったとき、棚卸しで「バックログ画面のD&D並べ替え」が他の画面にないことが分かり、これをベース画面に移植する必要があった。棚卸しを飛ばすと、統合後に「あの機能どこ行った?」が起きる。
削除フェーズでは grep で旧画面名・旧ルートヘルパーへの参照が残っていないか確認する。テストファイルのimportに残りがちなので注意。
週次GCレポートの「次サイクルアクション」をwork item化する
コード品質の週次監査(harness GC)で見つかった逸脱を、レポートに書いて終わりにせず、追跡可能なwork itemまで落とし込むパイプラインを回した。
Before(手動):
週次レポートを書いて「次やること」リストを作るが、翌週には忘れて同じ逸脱が再発する。レポートが読まれるだけのドキュメントになりがち。
After(自動):
- 週次GCレポートを自動生成する(KPI集計、逸脱の列挙、次サイクルアクションの記載)
- レポートのPRをマージしたら、次サイクルアクションをwork itemとしてBacklogに登録する
- 通常のスプリント計画で優先順位づけされ、実装に回る
## レポートの「次サイクルアクション」の例
1. PRテンプレートに Verification セクションを必須化する
2. session-complete で verify 省略理由を自動追記する
3. Review Finding Rate の N/A 表示ルールを明文化する
↓ それぞれ独立したwork itemとしてBacklogに登録
ポイント:
- レポートとwork itemの変換を明示的にやることで「書いて終わり」を防ぐ
- 1つのアクションは1つのwork item。粒度を揃えると優先順位づけしやすい
- work itemの「関連情報」にレポートPRへのリンクを残しておくと、なぜその作業が必要かの文脈が辿れる
osascriptに変数を渡すときはon run argvを使う
macOSの osascript でシェル変数を文字列展開すると、ダブルクォートを含む値でAppleScriptの構文が壊れる。
# NG: 変数にダブルクォートが含まれると構文エラー
TITLE='He said "hello"'
osascript -e "display notification \"$TITLE\""
on run argv を使えば引数として安全に渡せる。
# OK: 引数として渡すので展開の問題がない
osascript - "$TITLE" "$MESSAGE" <<'EOF'
on run argv
display notification (item 2 of argv) with title (item 1 of argv)
end run
EOF
ポイント:
- ヒアドキュメントは
<<'EOF'(シングルクォート)にして、シェルの変数展開を防ぐ on run argvでAppleScript側の引数として受け取る- 通知以外(
do shell script等)でも同じパターンが使える
放置worktreeの棚卸し — work-item状態を先に戻してから削除する
AIエージェントがworktreeを作成してタスクに着手すると、対応するwork-itemが in-progress に遷移する。PRを作らず中断したworktreeが溜まると、work-itemが実態と合わない状態で残り続ける。
仕組み:
- worktreeの一覧を取得し、各ブランチの状態(PRの有無、未マージコミット、mainとの差分)を確認する
- PRなし+mainと同一 → 安全に削除可能
- PRなし+未マージコミットあり → 内容を確認して判断(大抵は中途半端な実装で再実装可能)
in-progress/in-reviewのwork-itemをreadyに戻す- その後worktreeとブランチを削除する
棚卸しの手順:
- 全worktreeを列挙し、各ブランチのPR有無・未マージコミット・mainとの差分を確認する
- タスク管理の状態を実態に合わせて復元する(in-progress → ready 等)
- その後にworktreeとブランチを削除する
順序が重要で、2→3の順でないとタスク管理側に不整合が残る。
やってみてどうだったか:
- 9つのworktreeが溜まっており、5件のwork-itemの状態修正が必要だった。エージェントが自律的にworktreeを作るプロジェクトでは、定期的な棚卸しが要る
- 「worktree削除」と「work-item状態の復元」を別々にやると不整合が残る。状態を戻すのが先、削除は後の順序が重要
- 次はworktree作成時にタイムアウトや自動クリーンアップの仕組みを入れたい
GitHub Actionsのpermissionsは未指定だとreadがデフォルト
GitHub Actionsでpermissionsを明示的に書くと、書かなかったスコープはすべてnoneになる。一方、permissionsキー自体を省略すると、リポジトリ設定に依存する(多くの場合read)。
# これだと issues: write 以外は全部 none になる
permissions:
issues: write
# issueコメントだけしたい場合でも contents: read が必要なケースがある
permissions:
contents: read
issues: write
id-tokenだけはデフォルトがnone(他のスコープと違う)。OIDC認証が必要な場合は明示的にid-token: writeを追加するghコマンドはGitHub-hosted runnerにプリインストールされているので、別途インストール不要。GITHUB_TOKENも自動で設定される- CIでAIエージェントにgitやghコマンドを使わせる場合、permissionsの設定が実質的なサンドボックスになる。必要最小限のスコープだけ与えることで、エージェントの行動範囲を制限できる
refs: https://docs.github.com/en/actions/security-for-github-actions/security-guides/automatic-token-authentication#permissions-for-the-github_token
