Notes
画面統合は「機能の棚卸し→移植→廃止」の順で進める
同じドメインの表示バリエーションが複数画面に分散しているとき、一気にリライトするのではなく段階的に統合する。
手順:
- 棚卸し — 各画面の固有機能を洗い出す。一覧・フィルタ・並べ替え・一括操作・削除など、画面ごとに何ができるかをテーブルにまとめる
- ベース画面の選定 — 最も機能が多い画面、または目標UIに最も近い画面をベースにする
- 機能の移植 — 他の画面にしかない機能をベース画面に移植する。このとき新しい抽象化は作らず、まず動く状態にする
- 参照の付け替え — ルーティング・ナビゲーション・テストの参照先をベース画面に切り替える
- 旧画面の削除 — 参照がなくなった画面ファイルとそのテストを削除。不要になった型定義やユーティリティも一緒に消す
実際に5画面→1画面の統合をやったとき、棚卸しで「バックログ画面のD&D並べ替え」が他の画面にないことが分かり、これをベース画面に移植する必要があった。棚卸しを飛ばすと、統合後に「あの機能どこ行った?」が起きる。
削除フェーズでは grep で旧画面名・旧ルートヘルパーへの参照が残っていないか確認する。テストファイルのimportに残りがちなので注意。
週次GCレポートの「次サイクルアクション」をwork item化する
コード品質の週次監査(harness GC)で見つかった逸脱を、レポートに書いて終わりにせず、追跡可能なwork itemまで落とし込むパイプラインを回した。
Before(手動):
週次レポートを書いて「次やること」リストを作るが、翌週には忘れて同じ逸脱が再発する。レポートが読まれるだけのドキュメントになりがち。
After(自動):
- 週次GCレポートを自動生成する(KPI集計、逸脱の列挙、次サイクルアクションの記載)
- レポートのPRをマージしたら、次サイクルアクションをwork itemとしてBacklogに登録する
- 通常のスプリント計画で優先順位づけされ、実装に回る
## レポートの「次サイクルアクション」の例
1. PRテンプレートに Verification セクションを必須化する
2. session-complete で verify 省略理由を自動追記する
3. Review Finding Rate の N/A 表示ルールを明文化する
↓ それぞれ独立したwork itemとしてBacklogに登録
ポイント:
- レポートとwork itemの変換を明示的にやることで「書いて終わり」を防ぐ
- 1つのアクションは1つのwork item。粒度を揃えると優先順位づけしやすい
- work itemの「関連情報」にレポートPRへのリンクを残しておくと、なぜその作業が必要かの文脈が辿れる
osascriptに変数を渡すときはon run argvを使う
macOSの osascript でシェル変数を文字列展開すると、ダブルクォートを含む値でAppleScriptの構文が壊れる。
# NG: 変数にダブルクォートが含まれると構文エラー
TITLE='He said "hello"'
osascript -e "display notification \"$TITLE\""
on run argv を使えば引数として安全に渡せる。
# OK: 引数として渡すので展開の問題がない
osascript - "$TITLE" "$MESSAGE" <<'EOF'
on run argv
display notification (item 2 of argv) with title (item 1 of argv)
end run
EOF
ポイント:
- ヒアドキュメントは
<<'EOF'(シングルクォート)にして、シェルの変数展開を防ぐ on run argvでAppleScript側の引数として受け取る- 通知以外(
do shell script等)でも同じパターンが使える
放置worktreeの棚卸し — work-item状態を先に戻してから削除する
AIエージェントがworktreeを作成してタスクに着手すると、対応するwork-itemが in-progress に遷移する。PRを作らず中断したworktreeが溜まると、work-itemが実態と合わない状態で残り続ける。
仕組み:
- worktreeの一覧を取得し、各ブランチの状態(PRの有無、未マージコミット、mainとの差分)を確認する
- PRなし+mainと同一 → 安全に削除可能
- PRなし+未マージコミットあり → 内容を確認して判断(大抵は中途半端な実装で再実装可能)
in-progress/in-reviewのwork-itemをreadyに戻す- その後worktreeとブランチを削除する
棚卸しの手順:
- 全worktreeを列挙し、各ブランチのPR有無・未マージコミット・mainとの差分を確認する
- タスク管理の状態を実態に合わせて復元する(in-progress → ready 等)
- その後にworktreeとブランチを削除する
順序が重要で、2→3の順でないとタスク管理側に不整合が残る。
やってみてどうだったか:
- 9つのworktreeが溜まっており、5件のwork-itemの状態修正が必要だった。エージェントが自律的にworktreeを作るプロジェクトでは、定期的な棚卸しが要る
- 「worktree削除」と「work-item状態の復元」を別々にやると不整合が残る。状態を戻すのが先、削除は後の順序が重要
- 次はworktree作成時にタイムアウトや自動クリーンアップの仕組みを入れたい
GitHub Actionsのpermissionsは未指定だとreadがデフォルト
GitHub Actionsでpermissionsを明示的に書くと、書かなかったスコープはすべてnoneになる。一方、permissionsキー自体を省略すると、リポジトリ設定に依存する(多くの場合read)。
# これだと issues: write 以外は全部 none になる
permissions:
issues: write
# issueコメントだけしたい場合でも contents: read が必要なケースがある
permissions:
contents: read
issues: write
id-tokenだけはデフォルトがnone(他のスコープと違う)。OIDC認証が必要な場合は明示的にid-token: writeを追加するghコマンドはGitHub-hosted runnerにプリインストールされているので、別途インストール不要。GITHUB_TOKENも自動で設定される- CIでAIエージェントにgitやghコマンドを使わせる場合、permissionsの設定が実質的なサンドボックスになる。必要最小限のスコープだけ与えることで、エージェントの行動範囲を制限できる
refs: https://docs.github.com/en/actions/security-for-github-actions/security-guides/automatic-token-authentication#permissions-for-the-github_token
ドキュメントの鮮度を自動チェックして陳腐化を防ぐ
プロジェクトのドキュメント(ADR、README、設計ドキュメント等)がコードの変更に追従できず、古い情報のまま放置される問題があった。手動で定期的に見直すのは続かない。
Before(手動):
気づいたときにドキュメントを見直す → 気づかないまま数ヶ月放置されるドキュメントが発生。新メンバーが古い設計ドキュメントを信じて実装してしまうリスク。
After(自動):
ドキュメントファイルの最終更新日と関連コードの変更日を突き合わせ、乖離が大きいものをリストアップする「doc freshness guard」を導入。
# 例: 90日以上更新されていないドキュメントを検出
find docs/ -name "*.md" -mtime +90 -print
# 関連コードが更新されているのにドキュメントが古いケースを検出
# ドキュメント内で参照しているファイルパスやシンボル名をgrepし、
# そのファイルの最終コミット日とドキュメントの最終コミット日を比較
ポイント:
- 「最終更新が古い」だけでなく「関連コードが変わったのにドキュメントが更新されていない」を検出するのが重要。安定しているドキュメントまでノイズにならないように
- スケジュールタスクやCI上で定期実行し、結果をissueやSlackに通知すると放置されにくい
- ドキュメントのフロントマターに
related_paths: [src/auth/]のようなメタデータを持たせると、関連コードとの紐付けが正確になる
自律開発エージェントにPR数ゲートを設けてスループットを制御する
スケジュールタスクで自律的にissueを拾って実装・PR作成するエージェントを動かしていたが、レビューが追いつかないまま次々とPRが作られて並行ブランチが増えすぎる問題があった。
仕組み:
- エージェント起動時にオープンPR数をチェックし、閾値(例: 3件)以上なら何もせず終了する
- レビュー・マージが進んでPR数が減ると、次回のスケジュール実行で新しいissueを拾い始める
# scheduled-task prompt
事前にGitHubのPull Requestを確認し3つ以上が存在している場合は、
以降の処理を行わず。ここで処理をやめる
(並行作業が発生しすぎないように)
エージェント側の実装:
open_prs=$(gh pr list --state open --json number --jq 'length')
if [ "$open_prs" -ge 3 ]; then
echo "Open PRs: $open_prs (threshold: 3). Skipping."
exit 0
fi
やってみてどうだったか:
- レビュー待ちPRが溜まらなくなり、1つずつ確実にマージできるペースになった
- 閾値は「1人でレビューできるPR数」に合わせるのがよさそう。個人プロジェクトなら2〜3件
- PR数だけでなく「最後のPRが何時間前に作られたか」も見ると、バースト的な生成をさらに抑制できそう
Cloudflare D1のテストでは readD1Migrations + applyD1Migrations でマイグレーションを適用する
@cloudflare/vitest-pool-workers でD1を使うテストを書くとき、テストヘルパーにCREATE TABLE文をハードコードしていた。マイグレーションファイルを追加するたびにテストヘルパーも手動で同期する必要があり、乖離してテストが壊れることがあった。
@cloudflare/vitest-pool-workers が提供する readD1Migrations と applyD1Migrations を使えば、本番と同じマイグレーションファイルをテストDBにも適用できる。
// vitest.config.ts(Node.jsコンテキスト)
import {
defineWorkersConfig,
readD1Migrations,
} from "@cloudflare/vitest-pool-workers/config";
export default defineWorkersConfig(async () => {
const migrationsPath = path.join(__dirname, "migrations");
const migrations = await readD1Migrations(migrationsPath);
return {
test: {
poolOptions: {
workers: {
miniflare: {
d1Databases: { DB: { migrationsPath } },
bindings: { TEST_MIGRATIONS: migrations },
},
},
},
},
};
});
// test/helpers.ts(Workerコンテキスト)
import { env } from "cloudflare:test";
import { applyD1Migrations } from "cloudflare:test";
export async function resetDatabase() {
await applyD1Migrations(env.DB, env.TEST_MIGRATIONS);
// DELETE文でデータだけクリア(テーブル作成は不要)
await env.DB.exec("DELETE FROM orders; DELETE FROM users;");
}
ハマりどころ:
readD1MigrationsはNode.jsコンテキスト(vitest.config.ts)で呼ぶ。Worker内ではfsが使えないapplyD1Migrationsはcloudflare:testからimportする。Workerコンテキスト専用wrangler.tomlのmigrations_dirを設定するだけでは自動適用されない。明示的にAPIを呼ぶ必要がある
中間データにメタデータを含めておくと後工程の外部ツール呼び出しが減る
RAW現像パイプラインで、recipe.json(現像パラメータ)→ XMP変換 → darktable-cli実行、という流れを組んでいた。XMP生成時にクロップ値を決めるためにEXIF情報が必要だったが、recipe.jsonにEXIF情報がなく、毎回exiftoolを実行し直していた。
recipe.json生成時にEXIF情報を一緒に埋め込むようにしたところ:
- XMP生成が自己完結する — recipe.jsonだけ読めばXMPを作れる。
exiftoolの再実行が不要 - バッチ処理が速くなる — 75枚の一括現像で、1枚ごとの
exiftool呼び出しがなくなった - デバッグしやすい — recipe.jsonを見るだけで「このRAWのセンサーサイズはいくつで、WBは何Kだったか」がわかる
{
"file": "IMG_0001.ARW",
"recipe": { "exposure": 0.5, "temperature": 6300 },
"exif": {
"image_width": 6048,
"image_height": 4024,
"white_balance": "Auto",
"iso": 800
}
}
パイプラインの中間データは「次の工程が必要とする情報」を全部持たせておくと、工程間の結合度が下がる。後から「あのメタデータも必要だった」と気づいて追加するより、最初から入れておく方が手戻りが少ない。
エージェントスキルの「知識」と「ロジック」を分離してreferencesに蓄積する
写真現像エージェントで「ペットポートレートは5500K推奨」のようなドメイン知識をスキルのプロンプトに直書きしていたが、知識が増えるたびにプロンプトが肥大化する問題があった。
仕組み:
- スキルのプロンプト(ロジック層)には「referencesを読んで過去の好みを参考にせよ」とだけ書く
- ドメイン知識は
references/ディレクトリにファイルとして蓄積する - フィードバック結果から自動で新しいリファレンスを追加・更新する
skills/
arw-improve/
SKILL.md # ロジック: 手順と判断基準
references/
wb-preferences.md # 知識: シーン別WB傾向
exposure-tips.md # 知識: 露出調整の学び
やってみてどうだったか:
- スキルのプロンプトが安定する。知識が増えてもロジック部分は変わらない
- リファレンスはフィードバックのたびに追記されるので、使うほど精度が上がる
- 知識が構造化されているのでエージェントが「似たシーンの過去実績」を引きやすい
- 逆に、リファレンスが増えすぎるとコンテキストを圧迫するので、定期的に要約・統合する仕組みも必要になりそう
スケジュールタスクで開発作業を自動駆動する
AIエージェントの実装作業をスケジュールタスクとして登録し、バックログから自動的にissueを拾って実装→PR作成まで走らせるパターン。人間はレビューとフィードバックに集中できる。
仕組み:
story-devスキルをスケジュールタスクとして登録。定期的に自動起動- 起動するとバックログからReady状態のissueを1件選び、worktreeを作って実装し、PRを作成
- PRのCI(テスト、スクリーンショット差分等)が落ちたら、ユーザーが結果を伝えて修正を指示
scheduled-task (story-dev)
→ Ready issue を選択
→ worktree 作成
→ 実装 + テスト
→ PR 作成
→ CI結果待ち → 必要に応じてfix
1日で7件のissue(ラベルCRUD、ブロッカー管理、タイムライン、フィールドエラー表示、オーナー管理等)をこのフローで処理できた。
やってみてどうだったか:
- issueに
## Plan/DoD/verifyを事前に整備しておくと、エージェントが迷わず実装に入れる。issue品質が開発速度に直結する - CI失敗時の修正は人間がエラー内容を伝えるだけでよく、修正自体はエージェントが行う。「テストとスクリーンショット差分が落ちています」のような一言で十分
- 複数issueを直列でこなすので、途中のissueで入れた変更が次のissueのベースになる。ブランチ戦略(前のPRからブランチを切る等)の考慮が必要
AIの提案精度をフィードバックループで育てる
AIに創作パラメータ(写真の現像設定、デザインのトーン等)を提案させるとき、一発で好みに合うことは少ない。提案→評価→学習のループを仕組みとして組み込むと、回を重ねるごとに精度が上がる。
仕組み:
- 提案スキル — 過去のリファレンスを全読みしてからパラメータを生成する。リファレンスがなければ一般的なベストプラクティスで提案
- 適用 — 提案されたパラメータをツール(darktable-cli等)で適用し、結果を出力
- フィードバックスキル — ユーザーが5段階評価 + 良かった点/改善点/好みの方向性をテキストで入力
- リファレンス蓄積 — フィードバックを「学び」として抽象化し、
references/ディレクトリにMarkdownで保存。シーンタイプ・条件等のタグ付き
/propose → params.json → /apply → output
↓
/feedback → references/ に蓄積
↓
次回の /propose で references/ を参照 ←─┘
ポイントは、フィードバックを生のスコアではなく抽象化された学びとして保存すること。「この写真にはexposure +0.5が良かった」ではなく「暗所の室内写真ではシャドウの持ち上げが効果的」のように、別のシーンにも転用できる形にする。
やってみてどうだったか:
- スキルの
references/をコンテキストとして読むだけなので、ベクトルDB等の追加インフラが不要。ファイルベースで十分機能する - フィードバックのフォーマットを揃えておくと、AIが傾向を読み取りやすい
- 数回のフィードバックで「彩度はカメラJPEG並みにほしい」「シャドウの持ち上げは効果的」等の好みが反映されるようになった
darktable-cliでRAW現像を自動化してみた
RAWファイルにAI提案のパラメータを自動適用したくて、CLIからRAW現像できるツールを検討した。選択肢はdarktable-cli、rawtherapee-cli、Rust(libraw-rs)の3つ。darktable-cliを採用した。
使ってみた感想:
- 良かった点 —
darktable-cli input.ARW output.jpg --xmp sidecar.xmpの一行で、露出・コントラスト・ハイライト/シャドウ・シャープネス・NR・カラーグレーディング等の全パラメータを適用してJPEG出力できる。GUIなしのヘッドレス動作なのでCI/スクリプトに組み込みやすい - 気になった点 — XMPのパラメータ形式がdarktable独自のバイナリエンコーディング(C構造体をhexエンコード)で、プログラムからXMPを生成するのが一手間。Lightroom互換のXMLベースではない
- 向いている場面 — AIや機械学習で現像パラメータを提案し、結果をプレビューするパイプライン。人間がGUIを操作せずにRAW→JPEG変換を回したいケース
代替案との比較:
- rawtherapee-cli — PP3プロファイル形式でテキストベースなので生成しやすいが、パラメータ体系が独自
- libraw-rs (Rust) — WB・露出・明るさの4パラメータ程度しかカバーできず、コントラストやトーンカーブは自前実装が必要。RAW現像の本領を発揮するには不足
- darktable-cli — パラメータ網羅性が圧倒的。XMP生成の手間はPythonスクリプトで吸収できる
# macOSでのパス例
/Applications/darktable.app/Contents/MacOS/darktable-cli \
input.ARW output.jpg \
--xmp sidecar.xmp \
--width 2048 --height 2048
refs: https://docs.darktable.org/usermanual/4.8/en/special-topics/program-invocation/darktable-cli/
